10秒でわかる!要点まとめ

  • 機能リストではなく「物語」でユーザーの行動をシミュレーションする脚本作り
  • 「点(画面)」ではなく「線(体験)」で捉えることで、不自然な導線を発見する
  • 「いつ」「どこで」「どんな感情で」という文脈(コンテキスト)がUXの質を決める

1. 概要:ユーザー行動の「脚本」を書く

ユーザシナリオ作成とは、設定されたターゲット(ペルソナ)が、どのような状況でWebサイトを訪れ、どのような手順で操作し、最終的にどうやって目的を達成するかを、時系列のストーリー(物語)として記述する業務です。

単なる「画面遷移図(フローチャート)」が無機質な矢印の繋がりであるのに対し、シナリオには「ユーザーの文脈(通勤電車の中で急いでいる、など)」や「心理状態(不安だからまずは口コミを見たい、など)」が含まれます。ユーザー体験(UX)を具体的にイメージし、必要な機能や情報を洗い出すための土台となります。

2. なぜ重要なのか:システム都合の「使いにくさ」を防ぐ

ディレクション領域、エンジニアリング領域では、つい「会員登録機能が必要」「検索機能が必要」と、機能を部品(点)として捉えがちです。しかし、ユーザーにとってはそれらは一連の流れ(線)の一部に過ぎません。

シナリオを書かずに画面設計に入ると、「商品をカートに入れた後に、会員登録を求められて面倒になり離脱する」といった、文脈を無視した不親切な設計になりがちです。制作に入る前に机上でシミュレーションを行い、「ここでこのボタンがないとユーザーは迷うはずだ」という欠陥に気づくために、シナリオは不可欠です。

3. 実務のポイント:As-Is(現状)とTo-Be(理想)

実務では、ユーザーの感情と行動をセットで記述することがポイントです。

  • 具体的状況の設定:ただ「検索する」と書くのではなく、「外出先で雨が降ってきたので、スマホで近くのカフェを音声検索する」と具体的に書きます。これにより「片手操作できるUIが必要」「地図アプリとの連携が必要」といった要件が見えてきます。
  • 思考・感情の記述:「料金ページを見たが、高そうだと感じて一度閉じる」→「後日、リターゲティング広告を見て再訪する」といった、心理的な動きも記述します。
  • ハッピーパス以外も考える:すべてが順調に進む「ハッピーパス」だけでなく、エラーが出た時や、目的の商品が見つからなかった時のシナリオも想定することで、手厚いサポート設計が可能になります。

4. スキルアップのヒント:4コマ漫画を描いてみる

文字だけで書くとイメージが湧きにくい場合は、簡単な「4コマ漫画(絵コンテ)」を描いてみるのが最も効果的なトレーニングです。絵にすることで、「スマホを見ている時の姿勢」や「周囲の環境」まで意識が向き、よりリアルなユーザー視点を持つことができます。

また、自分自身がWebサイトを使っていて「イラッとした瞬間」をメモしておき、「なぜその時イライラしたのか(どういうシナリオが崩れたのか)」を言語化する習慣も、シナリオ構成力を高めます。