10秒でわかる!要点まとめ

  • 「高機能なシステム」も、使い方が伝わらなければ「ただの箱」。納品物の価値を決める最後の鍵
  • 専門用語は一切禁止。「ITが苦手な事務員さん」でも迷わず操作できる言葉で書く
  • 「やってはいけないこと(禁止事項)」を明記することが、サイト崩壊を防ぐ最大の防御

1. 概要:クライアントの手元に「免許証」を渡す

CMSマニュアル作成とは、WordPressなどのコンテンツ管理システム(CMS)を導入したWebサイトにおいて、納品後にクライアント担当者が自分たちで記事の更新や画像の差し替えを行えるよう、操作手順をわかりやすく解説した説明書を作成する業務です。

ログイン方法から始まり、記事の投稿手順、画像のアップロード方法、カテゴリの設定、プレビュー確認、そして公開手順までを、実際の管理画面のスクリーンショット(キャプチャ)を使いながらステップバイステップで記述します。納品後の運用フェーズにおける「教科書」となるドキュメントです。

2. なぜ重要なのか:問い合わせの嵐を防ぎ、顧客満足度を上げる

どれだけ素晴らしいCMSを構築しても、使い方がわからなければクライアントは更新できず、サイトはすぐに陳腐化(情報が古くなる)してしまいます。また、マニュアルが不親切だと、「画像の入れ方がわからない」「文字が大きくならない」といった基本的な操作に関する問い合わせ電話が殺到し、他の業務を圧迫することになります。

「これを見れば誰でも更新できる」という質の高いマニュアルを用意することは、クライアントの自走(運用内製化)を促し、結果として全体の工数削減と、クライアントからの信頼獲得に繋がります。

3. 実務のポイント:赤枠・矢印・吹き出しの徹底

実務でマニュアルを作る際、文章だけで説明しようとしてはいけません。

  • ビジュアル重視:操作画面のキャプチャを撮り、クリックすべき場所に「赤枠」、操作順序を示す「①②③の番号」、注意点を示す「吹き出し」を入れます。視覚的に直感で理解できるようにします。
  • 専門用語の翻訳:「ダッシュボード」「ウィジェット」「アイキャッチ」といったCMS特有の用語は、クライアントには通じません。「管理画面のトップ」「サイドバーの部品」「一覧に表示される画像」といった平易な言葉に置き換えるか、用語集を付けます。
  • 禁止事項(Don't)の明記:「ワードから直接文章をコピペしないでください(不要なタグが入るため)」「画像のサイズは〇MB以下にしてください」といった、サイトの表示崩れや不具合に繋がる操作を「禁止事項」として目立つように記載します。

4. スキルアップのヒント:動画マニュアルという選択肢

最近では、静止画のPDFマニュアルだけでなく、「Loom」や「Zoom」の録画機能を使って、実際の操作画面を操作しながら解説した「動画マニュアル」を提供するケースが増えています。

「ここを押すと、こう動きます」という実際の挙動を見せることで、テキストの何倍も伝わりやすくなります。

また、作成したマニュアルを、全く事情を知らない社内の総務スタッフや新人に読んでもらい、操作してもらうテストも有効です。そこで詰まった箇所こそが、マニュアルの改善点です。